薄毛の原因解明!自宅で出来る AGA(男性型脱毛症)対策
30歳を過ぎると、何かにつけ体調の変化を感じます。朝になっても前日のお酒が抜けなかったり、若い頃とは悩みも変わります。特に男性の場合、薄毛が心配になってきます。ある日突然奥さんから「髪が薄くなった?」と言われたらどうしますか?近年は皮膚科でAGA(男性型脱毛症)治療ができるようになりましたが、保険がきかず費用も高額です。そこで、自宅でもできる薄毛対策に注目してご紹介したいと思います。
薄毛の原因を解明しよう
AGA(男性型脱毛症)を引き起こす犯人は?
薄毛対策を考えるための予備知識として、まず薄毛の原因について理解を深めましょう。中年期以降の男性が悩む薄毛は、正式には「AGA(男性型脱毛症)」と呼ばれます。男性型脱毛症を引き起こす犯人は、男性ホルモンの一種「テストステロン」です。テストステロンが毛乳頭の中で活性化すると、毛母細胞の増殖を抑制します。その影響で髪の成長が止まり、薄毛が進行します。
なぜ男性ホルモンが薄毛の原因になるの?
男性ホルモンがなぜ薄毛の原因になるのか、素朴な疑問を感じませんか?男性ホルモンは本来、男らしい体を作ってくれる物質です。ヒゲが生えるのも男性ホルモンのおかげです。なのになぜ男性ホルモンは、ヒゲを生やす役割を持つ一方で、同時に薄毛の原因にもなってしまうのでしょうか?
カギを握るのは、前頭部(前髪の生え際部分)・頭頂部(つむじ部分)の毛乳頭にある「男性ホルモン受容体」です。本来は体毛を濃くするテストステロンですが、前頭部・頭頂部の毛乳頭内部で男性ホルモン受容体と結合すると「 TGF-β1」を作り出します。この TGF-β1が、毛母細胞の増殖を抑制して薄毛を引き起こすのです。男性型脱毛症が前頭部・頭頂部で起きるのは、こうした理由からなのです。
AGA(男性型脱毛症)を悪化させる要因
男性型脱毛症の直接の引き金はテストステロンですが、毛髪への栄養補給が阻害されると症状はさらに悪化します。その要因としては、次のようなものが挙げられます。
・頭皮環境の悪化
・血行不良
・筋肉や神経の緊張
薄毛の原因はAGA(男性型脱毛症)以外にも
またAGA(男性型脱毛症)の他にも、薄毛を引き起こす症状があります。いくつかの症状が併発することもあります。効果的な薄毛対策を行うには、原因となる症状をしっかり見極める必要があるのです。代表的な症状として、次のようなものが挙げられます。
・真菌(カビ)による「脂漏性湿疹」
・アレルギーによる「炎症性皮膚炎」
薄毛の原因診断法(薄毛の場所と頭皮の異常)
AGA(男性型脱毛症)は前頭部・頭頂部に起こる
薄毛の原因を見極めるには、まず薄毛の場所を確認しましょう。先ほど説明したように、AGA(男性型脱毛症)は男性ホルモン受容体が集中する前頭部・頭頂部で起こります。あなたが薄毛になっている場所が前頭部・頭頂部なら、男性型脱毛症の対策を講じる必要があります。これに対して側頭部や後頭部に薄毛が発生している場合は、男性型脱毛症とは異なる症状が疑われます。
男性型脱毛症以外の症状なら皮膚科へ
薄毛が側頭部・後頭部にだけ起こっている場合は、皮膚科を受診して原因の特定と治療を行いましょう。AGA(男性型脱毛症)の治療ではないので、AGA治療とは異なり健康保険の適用対象となります。薄毛というよりも皮膚トラブルの改善という意識で、皮膚科を受診してください。
また前頭部・頭頂部の薄毛についても、男性型脱毛症だけでなく別の症状が併発している可能性があります。 男性型脱毛症による薄毛が、脂漏性湿疹や炎症性皮膚炎によってさらに悪化することも考えられます。頭皮にかゆみを感じたり、赤くなっていることが確認できる場合は、すぐに皮膚科を受診して原因の特定と治療を行ってください。
そもそもAGA(男性型脱毛症)は、毛髪の成長サイクルが縮小していく症状です。毛母細胞が死滅したり、炎症が起きるわけではありません。男性型脱毛症が進行しても、微小のうぶ毛は生え続けるのです。 髪が太いまま抜けたり、頭皮に炎症が起きるのは、男性型脱毛症とは異なる原因によるものです。安易な民間療法に頼らず、皮膚科を受診して原因を明らかにしましょう。
薄毛の原因別対策(育毛剤)
テストステロン対策には育毛剤
ここからは、AGA(男性型脱毛症)の対策に的を絞って考えていきましょう。テストステロンによる薄毛の進行度合いには個人差がありますが、これは遺伝的要素によるものと考えられます。遺伝による薄毛を改善するには皮膚科やAGAクリニックでのAGA治療がもっとも効果的ですが、自宅で対策するなら育毛剤を使うという方法があります。
ミノキシジル配合の育毛剤が効果的
市販の育毛剤の中には、AGA治療で用いられる「ミノキシジル」という成分を配合したものがあります。はっきりした効果が出るには、6か月から1年は継続して使う必要があります。また、使用を中止すると数か月で効果がなくなってしまいます。ミノキシジル配合の育毛剤としては、大正製薬の「リアップ」が有名です。
なお、ミノキシジルが薄毛を改善するメカニズムについては、実はまだ解明されていない点があります。そのため AGA治療の現場では、内服薬としての処方は危険視されています(日本皮膚科学会『男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版』)。市場には錠剤の「
ミノキシジルタブレット」が流通していますが、 重篤な副作用もある為、慎重に検討して安易な使用は控えてください。
薄毛の原因別対策(食生活)
食生活の乱れはサプリメントで補おう
AGA(男性型脱毛症)の進行には、遺伝によるテストステロンの作用だけではなく、さまざまな原因が複合的に影響しています。そのひとつが食生活です。毛髪も皮膚の一部なので、バランスの取れた食生活によって皮膚を健康に保つことが大切です。忙しい働き盛りの男性は特に食生活が不規則になりがちです。
食事で不足している栄養分には、サプリメントを利用するという方法もあります。血行不良を防いで頭皮環境を健康に保つには、毛細血管の老化を食い止める必要があります。そのためには、ヒハツやパフィアといった植物エキスを配合したサプリメントが有効です。血管の壁細胞を修復する「Tie2」と呼ばれる受容体を活性化することが期待できます。
また、大豆イソフラボンの摂取も効果的です。胃の知覚神経に作用することで、毛母細胞の増殖を担う成長ホルモン「 IGF-1」を作る手助けをしてくれます。IGF-1が増加することで、先ほど説明した「TGF-β1」による毛母細胞の活動低下を緩和できるのです。大豆イソフラボンは、豆乳や豆腐など摂取しやすい食材ですが、大豆製品が苦手な方はサプリメントで摂取することもできます。
薄毛の原因別対策(ストレス)
頭皮には「押す」マッサージが効果的
ストレスも抜け毛、薄毛を悪化させる原因のひとつです。ストレスによる筋肉や神経の緊張は、全身の血行不良を引き起こします。もちろん頭皮も例外ではなく、血行不良により頭皮環境が悪化します。髪への栄養補給が阻害され、育毛剤の効果も減少してしまいます。ただ、働き盛りの男性にとって仕事のストレスは避けられません。そこで、ストレスの影響を減らすことを考えましょう。
ストレスによる体の不調を改善するには、マッサージが役立ちます。特に頭皮に対しては、指の腹で「押す」ようにマッサージすると効果的です。頭皮の場合は「もむ」「さする」動作よりも 「押す」動作の方が血流を上昇させることが、実験で実証されています。頭皮はすぐ下に頭がい骨がある硬い部位なので、もっとも荷重がかかる「押す」動作が効果的だと考えられています。
薄毛の原因別対策(睡眠)
睡眠の質を高めよう
仕事が忙しいと、睡眠不足になってしまうことも珍しくありません。睡眠不足は薄毛にも影響するのでしょうか?そこで「公益社団法人日本毛髪科学協会」の電話相談で聞いてみたところ、次のような答えが返ってきました。
「人間の髪の毛は全部で10万本あり、1日に約100本ずつ生え変わります。このサイクルを正常に保つには、十分に睡眠をとって、成長ホルモンのバランスを整えることが必要です。もちろん薄毛には遺伝的要素もあるので、睡眠さえとっていれば薄毛が改善するわけではありません。しかし、睡眠不足が髪の成長に悪影響を及ぼすことは確かです」
では、十分な睡眠をとるにはどんなことに気を付けるとよいのでしょうか?この点についても質問してみたところ、次のような返答がありました。「仕事の関係で睡眠時間を増やせない場合は、 睡眠の質を高めるように意識してみてください。 寝る前にお酒を飲まない事や、テレビやスマホの明かりを見ないようにするだけでも、睡眠の質は上がります」という事でした。
まとめ
それでは最後に、今回ご紹介した内容をまとめます。
・AGA(男性型脱毛症)は、前頭部や頭頂部に起こる
・側頭部や後頭部の薄毛は、AGA(男性型脱毛症)ではない
・頭皮に炎症が起こるのは、AGA(男性型脱毛症)が原因ではない
・AGA(男性型脱毛症)が原因ではないと思われる症状については、皮膚科を受診する
・AGA(男性型脱毛症)の対策① ミノキシジル配合育毛剤を継続的に使う
・AGA(男性型脱毛症)の対策② サプリメントを利用してヒハツ、パフィア、大豆イソフラボンを摂取する
・AGA(男性型脱毛症)の対策③ 頭皮を指の腹で押すようにマッサージする
・AGA(男性型脱毛症)の対策④ 寝る前の飲酒やテレビ・スマホは控える
薄毛が起こる場所によって原因を大まかに推測できることは、とても役立つ知識だと思います。前頭部・頭頂部のAGA(男性型脱毛症)については、育毛剤を使ったり生活習慣を見直したりして対策をしましょう。これに対して側頭部や後頭部の薄毛は別の原因が考えられるので、すぐに皮膚科を受診するようにしましょう。