抜け毛は病気のサインだった!抜け毛を症状とする病気について解説
通常の抜け毛本数であれば、特に薄毛に繋がる心配は殆どありません。しかし、明らかに多すぎる抜け毛本数の時は要注意です。薄毛は病気ではありませんが、人によっては病気が薄毛を引き起こしている場合があります。どんな病気が薄毛を引き起こすのか、気になる方は先に進んでみて下さい。
病気の可能性あり!抜け毛が症状の病気とは
私たち人の「のどぼとけ」の下付近には、甲状腺と呼ばれる器官があるのを知っていますか? 甲状腺から作り出される甲状腺ホルモンには、新陳代謝を促進させる働きがあります。甲状腺機能低下症という病気になると、甲状腺ホルモンが不足しやすいです。新陳代謝の低下により、次のような症状が見られます。
皮膚が乾燥する
全身や顔に浮腫みが見られる
汗の量が少なくなる
抜け毛が増える
寒さを感じやすくなる
食欲が落ちる
体重が増える
気力がなくなるなど
逆に甲状腺ホルモンが多すぎると、次のような症状が出やすいです。
疲れやすい
汗の量が多くなる
手足が震える
イライラ感が増す
動悸がする
息切れする
眠れない
抜け毛が増える
のどが渇くなど
甲状腺ホルモンは少なすぎても、多すぎても抜け毛に繋がりやすいです。上記のような症状に心当りがある方は、病気による抜け毛に注意したほうが良いでしょう。
腎臓の病気でも、抜け毛本数が増えるの?
腎臓には余分な毒素や老廃物を除去する働きがあります。しかし、腎臓が病気になると働きが弱まるため、血液に余分なものが入りやすいです。腎臓の働きが低下すると次のような症状が見られるために注意して下さい。
浮腫み
頻尿
夜間尿
身体のだるさ
貧血
かゆみ
抜け毛が増えるなど
腎臓のろ過する働きが低下すると、血液に不純物が混ざりやすくなります。不純物が多くなると、髪の成長に必要な栄養が不足し、抜け毛本数が増える可能性があるのです。
肝臓の病気でも、抜け毛本数が増えるの?
肝臓には食べ物の消化や吸収を助ける他、食べ物に含まれる栄養素の分解や再合成、解毒などの働きがあります。肝臓の働きが低下すると次のような症状が見られます。
食欲が落ちた
疲れやすい
身体がだるい
足が浮腫む
お腹が張る
かゆみがある
尿の色が濃くなった
抜け毛が増えるなど
肝臓が病気になると食べ物の消化や吸収が悪くなり、髪への栄養が不足するため、抜け毛本数が多くなりやすいです。肝臓が病気になっても、自覚症状がないことが多いために注意して下さい。
抜け毛が症状の皮膚科の病気
次のような皮膚の病気によっても、抜け毛本数が増えることがあります。
円形脱毛症
脂漏性湿疹
炎症性皮膚炎
円形脱毛症になると次のような症状が見られます。
1か所10円玉ほどの大きさで脱毛する(単発型)
円形の脱毛個所が複数になる(多発型)
ヘビが蛇行するような形で脱毛する(蛇行型)
頭部全体的に脱毛する(全頭型)
眉毛やわき毛など体毛まで脱毛する(汎発型)
狭い範囲の単発型で、髪が長い方だと髪に隠れて気が付かないことがあります。しかし、脱毛範囲が広い場合は目立つ上に、治り難いために注意して下さい。
もともと皮脂の分泌量が多い方に見られるのが、 脂漏性湿疹(脂漏性皮膚炎)です。脂漏性皮膚炎では赤いブツブツ(紅斑)が見られます。ニキビの症状と似ていますが、ニキビはアクネ菌が原因であるのに対し、脂漏性皮膚炎ではマラセチア真菌が原因です。その他にも、脂漏性皮膚炎ではかゆみやフケ、頭の臭いなどの症状が見られます。皮脂の過剰分泌により、頭皮環境が悪化し、抜け毛本数が増えることがあるために注意が必要です。
皮膚に炎症が起こるのが、 炎症性皮膚炎です。中でも アトピー性皮膚炎では強いかゆみ、湿疹などの症状が見られます。頭皮に炎症が起こると、頭皮環境の悪化により抜け毛本数が増えやすいです。
止められない抜毛症という病気
ダメだと思っていても、毛を抜くのを止められない 抜毛症という病気もあります。抜毛症の場合、男性よりも女性のほうが多い傾向があります。毛を抜いている自覚のあるもの、自覚のないもの、2タイプあるのが抜毛症の特徴の一つです。
円形脱毛症や脂漏性湿疹、炎症性皮膚炎は皮膚に原因がありますが、 抜毛症では精神的な原因で起こります。もともとの髪は健康なため、抜毛を繰り返す行動さえ治まれば、また髪が生えてきますが、中々髪を抜くのを止められず、何年も抜毛症が続いている事も珍しくありません。
抜け毛と妊娠の関係
女性の場合、妊娠初期に抜け毛本数が増えたことはありませんか?妊娠すると出産を終えるまで女性ホルモンのエストロゲン、プロゲステロンが盛んに分泌され、プロゲステロンが優位になる等ホルモンバランスの乱れ によって抜け毛本数が増えることがあります。
「つわり」ではムカムカや吐き気などの症状が見られますが、食欲不振をともなうことがあります。食欲不振や胎児、胎盤へ栄養分が取られる事で栄養不足 となり、抜け毛本数がさらに増えやすい状況です。
産後の女性でも、ホルモンバランスの乱れによる分娩後脱毛症が起きることがあります。産後半年から1年ほど期間が経てば、ホルモンバランスが整ってくるため、髪が回復しやすいです。しかし、回復するまで時間がかかるため、悩みが大きくなる傾向にあります。
病気ではない進行性の抜け毛(女性男性型脱毛症)
病気ではないFAGA(女性男性型脱毛症)といった抜け毛の症状もあります。加齢により、 女性ホルモンのエストロゲンが減少し、ホルモンバランスが乱れてくる と発症することが多いです。中年以降の女性に見られる薄毛の症状であり、若い女性には少ない症状となっています。
男性のAGA(男性型脱毛症)では額の生え際や頭頂部から薄くなり始めますが、女性のFAGA(女性男性型脱毛症)では 頭部の髪が全体的に薄くなる 症状が見られます。しかし、一部の女性では 額の生え際から薄くなることがあります。中には 片側の生え際だけ薄くなる 女性も見られるため、心当たりのある方はFAGA(女性男性型脱毛症)の可能性があるでしょう。
抜け毛は病気の兆候?検査、治療するなら受診先はどこ?
抜け毛の原因が病気だった場合、どこで検査や治療を受けたら良いのか分かり難くありませんか?そこで病院にて何科になるのか、質問してみたところ、次のような診療科で受診して下さいとのことです。
甲状腺の病気 | 耳鼻科/代謝内分泌内科/一般内科 |
腎臓の病気 | 腎臓内科/泌尿器科 |
肝臓の病気 | 消化器内科/消化器外科 |
皮膚の病気 | 皮膚科 |
抜毛症 | 精神科/心療内科 |
病気ではないFAGA(女性男性型脱毛症)はどこで受診するの?
FAGA(女性男性型脱毛症)の場合、女性頭髪専門外来にて受診する方法があります。FAGAは病気ではないため、特に痛いかゆいなどの辛い症状は見られません。しかし、 進行性のある脱毛症のため、髪のボリュームがなくなってきたら、早めに対策を始めたほうが良いでしょう。
ただし、美容目的の治療となるために 保険は使えません。育毛メソセラピーやハーグ療法など、薄毛治療によっては高額な治療費がかかるため、幾ら必要なのかカウンセリング時に質問しておきましょう。
まとめ
ここまで病気が原因となる抜け毛について解説してきましたが如何でしたか?重要なポイントだけまとめると次のようになります。
甲状腺、腎臓、肝臓が病気になると抜け毛本数が増えることがある
円形脱毛症や脂漏性湿疹、炎症性皮膚炎など、皮膚の病気でも抜け毛本数が増えることがある
抜毛症という病気は精神的な原因がある
FAGA(女性男性型脱毛症)は病気ではないが、進行性がある
病気の種類にあった診療科で受診することが大切
原因は様々であっても、どの抜け毛も本人にとっては重大な悩みである事には変わりありません。そして、その悩みは相談もしにくく性質的にも深刻になりやすいものです。しかし、抜け毛という症状の後ろに重篤な病気が隠れている場合があるので、抜け毛だけでなくその他の症状や体調変化にも注意が必要です。病気によっては身体に重大な悪影響が出る恐れがあるため、早めに病院で診て貰いましょう。