【薄毛のサイン】ベタつき、赤み、痒みは頭皮からのSOS
若い方が薄毛について悩むことは、何らおかしいことではありません。薄毛の悩みは、中年男性だけのものではないのです。若い方でも、頭皮トラブルを抱えることがあります。頭皮トラブルが悪化すると、薄毛を引き起こしかねません。そこで今回は薄毛予防の観点から、頭皮トラブルの原因や対策について詳しく見ていきましょう。
【薄毛のサイン】見逃してはいけない頭皮の異常とは
薄毛につながる頭皮トラブル
薄毛の原因になりかねない頭皮の異常としては、次のようなものが挙げられます。
・頭皮が赤みを帯びる
・頭皮がベタついて悪臭がする
・頭皮が痒くなる
これらの頭皮トラブルの背景としては、「脂漏性湿疹」「ひこう性湿疹」「アトピー性皮膚炎」など様々な症状が考えられます。 いずれの場合も、炎症を引き起こすことで薄毛の原因となります。 そのため、早期の発見と対策が重要になってきます。
前頭部・頭頂部はAGA(男性型脱毛症)にも注意
また、 AGA(男性型脱毛症)との併発にも注意 が必要です。AGA(男性型脱毛症)とは男性ホルモンの作用によって引き起こされる薄毛で、頭皮トラブルによる薄毛とは本来全く別物です。しかし「頭皮トラブルがAGA(男性型脱毛症)を悪化させる」という形で薄毛が進行する場合もあるのです。
男性型脱毛症が発生する部位は、前頭部・頭頂部に限られます。これに対して、頭皮トラブルは頭皮全体に起こりえます。そのため前頭部・頭頂部には、AGA(男性型脱毛症)と頭皮トラブルが併発する可能性があります。
たとえば、頭皮がうっすら赤くなっていると同時に、頭頂部が薄くなっているとします。この場合は、頭皮の赤みが炎症を起こして薄毛にならないように対策するのはもちろんのこと、頭頂部のAGA(男性型脱毛症)が頭皮トラブルによって悪化しないよう注意することも必要になります。
【薄毛予防】頭皮が赤い原因と対策
頭皮の赤みは軽微な炎症
健康な頭皮は、青白い色 をしています。頭皮が赤みがかった色になっている場合は、軽微な炎症が起きている ことが疑われます。炎症がさらに悪化すると薄毛につながりかねないので、早期に対策をとることが必要です。抜本的な対策はもちろん皮膚科を受診することですが、ここでは予防や生活習慣の改善といった観点から説明します。
考えられる症状とその原因
頭皮が赤みを帯びる原因としては、アトピー性皮膚炎やアレルギーも考えられます。しかし、高度に専門的な対策が必要な症状なので、ここでは触れないこととします。今回取り上げるのは、次の症状です。
・脂漏性湿疹
・ひこう性湿疹
まず「脂漏性湿疹」が起こる原因は、 頭皮が過剰に脂っぽくなる ことです。頭皮の皮脂が過剰に分泌されるせいで、細菌の異常繁殖が起こり炎症につながる のです。これに対して「ひこう性湿疹」とは、 大量のフケ が原因となって起こる炎症です。多くの場合は、 頭皮の乾燥 が要因となっています。
頭皮の状態を見分けよう
したがって対策としてまず必要になるのは、頭皮が脂っぽいのか乾燥しているのかを見分けることです。もし頭皮が脂っぽければ、「脂漏性湿疹」を疑いましょう。普段脂っぽいものばかり食べていないか、食生活を見直してください。シャンプー不足の可能性もあるので、洗浄力が弱いシャンプーを使っていないか、正しいシャンプーの仕方であるか確認しましょう。
一方、頭皮が乾燥していて細かいフケがたくさん出ているようなら、「ひこう性湿疹」が疑われます。この症状を抱えた人は、フケをどうにかしたくてシャンプーしすぎる傾向があります。シャンプーをし過ぎると頭皮が乾燥し、さらに症状が悪化してしまいます。刺激の強いシャンプーは避け、頭皮の保湿を意識するようにしましょう。
【薄毛予防】頭皮がベタつく原因と対策
頭皮のベタつきは悪いこと?
頭皮が赤くなる原因として、頭皮の皮脂が過剰分泌されることで起こる「脂漏性湿疹」を紹介しました。そこで、ここからは「頭皮のベタつき」についてさらに詳しく見ていきましょう。結論からいうと、頭皮が多少ベタついているからといって、それだけで薄毛になる心配はありません。むしろ皮脂を洗浄しすぎるほうが、頭皮環境を悪化させてしまいます。
そもそも皮脂は、頭皮を守るバリアの役割を果たしています。皮脂に含まれるビタミンEは、抗酸化物質として紫外線から頭皮を守ります。また、頭皮の常在菌(頭皮に普段から生息している細菌のこと)が異常に繁殖しないよう、バランスを保つ役割も果たします。
したがって、シャンプーのし過ぎは頭皮環境を保つのに逆効果です。必要な皮脂まで洗い流すことになるからです。シャンプーのCMは「毛穴にアブラが詰まると毛が抜ける」と強調しますが、実は医学的には迷信とされています。根拠のない情報に振り回されないようにしましょう。
いやな臭いがしたら要注意
ただ、 頭皮からいやな臭い がするのなら、皮脂の過剰分泌 が疑われます。過剰分泌された皮脂は「過酸化脂質」となり、臭いの原因となるからです。さらに痒みも感じるようなら、「脂漏性湿疹」となって炎症を起こす可能性があります。頭皮に激しい炎症が起こると、ヘアサイクル(髪の毛が生え変わる周期のこと)が休止期に入ってしまうことがあるので、早めの対策が必要です。
対策としては「脂漏性湿疹」のところで説明したように、脂っこいものばかり食べていないか食生活を見直しましょう。特に一人暮らしの学生の方はコンビニ弁当に頼りがちなので、できる限り自炊をするように心がけましょう。シャンプーについては、洗浄力が強めの石鹸シャンプーを試してみましょう(頭皮の臭いが改善したら、刺激の少ないアミノ酸シャンプーに移行してください)。
【薄毛予防】頭皮が痒くなる原因と対策
痒みの原因を見分けよう
頭皮が多少ベタつくだけなら問題ありませんが、痒い場合は炎症になる可能性があります。皮脂の過剰分泌が原因なら「脂漏性湿疹」、頭皮の乾燥が原因なら「ひこう性湿疹」がそれぞれ疑われます。頭皮の状態に応じた対策が必要になります。
頭皮の乾燥が原因の場合
頭皮の状態を判断するには、痒みの質に注意しましょう。痒みとともに「頭皮が突っ張る、引っ張られる感じ」がするなら、頭皮の乾燥 が疑われます。そのまま放置しておくと、「ひこう性湿疹」に悪化して薄毛の要因になる可能性があります。刺激の強いシャンプーの使用は避け、よりマイルドなアミノ酸シャンプーに変えてください。
お店でアミノ酸シャンプーを見分けることができるように、主な成分を挙げておきます。
・ヤシ油脂肪酸メチルタウリンナトリウム
・ココイルグリシンナトリウム
・ココイルグルタミン酸ナトリウム
皮脂の過剰分泌が原因の場合
一方、痒みとともにベタつきを感じる場合は、頭皮の皮脂の過剰分泌が疑われます。「脂漏性湿疹」に悪化し、薄毛の要因になる可能性があります。先ほど説明したように、過剰分泌かどうかの分かれ目は「頭皮の臭い」です。いやな臭いがするようなら、使っているシャンプーの洗浄力が弱いと考えられます。洗浄力の強い石鹸シャンプーを使いましょう。
お店で石鹸シャンプーを見分けることができるように、主な成分を挙げておきます。
・せっけん素地
・脂肪酸ナトリウム
・脂肪酸カリウム
【薄毛予防】頭皮を軟らかくする頭皮マッサージ
頭皮が硬くなる原因
健康な頭皮は、適度な弾力を持っています。にもかかわらず頭皮が硬くなっているのなら、血行不良による頭皮環境の悪化が考えられます。頭皮への栄養供給は血管が担っており、血行不良は頭皮を栄養不足にします。頭皮トラブルの悪化を招く原因になるので、改善する必要があります。
頭皮マッサージに効果はある?
もっとも、頭皮マッサージに効果があるかは疑問です。医学的には、頭皮マッサージの発毛効果に根拠はないとされています。マッサージによる血流促進はあくまでも一時的なもので、マッサージをやめたとたんに血流は再び低下してしまうからです。
また、頭皮を刺激するためのブラシといった「育毛グッズ」が多数売られていますが、その効果も定かではありません。むしろ使い方によっては、頭皮を傷つけかねません。またブラシ自体が汚れていると、頭皮の菌を繁殖させて炎症につながります。
全身の血行を良くしよう
頭皮マッサージや育毛ブラシで局地的に刺激を与えるよりも、全身の血行を良くすることを意識するほうが効果的です。お風呂にゆっくり入り、睡眠をたっぷりとりましょう。なお、温泉やスパに行くならミストサウナがおすすめです。全身浴の場合よりも頭皮の血行を促進することが、実験で明らかになっています。
【薄毛予防】頭皮を日焼けのダメージから守るには
日焼けも薄毛の原因
頭皮環境が悪化する原因として、日焼けも忘れてはなりません。日焼けは火傷と同じく、皮膚に炎症を起こします。そのため、頭皮の炎症による薄毛の原因となります。また紫外線を浴びることで、頭皮の毛細血管やリンパ管もダメージを受けます。頭皮に栄養が行き渡らなくなるので、この点からも薄毛の原因になります。
頭皮を日焼けから守るには?
特に紫外線量が多くなる5~8月は注意が必要です。また曇りの日であっても、紫外線量は晴れの日の約60%に及ぶので油断大敵です。帽子をかぶって、頭皮の日焼けを防ぎましょう。ただし帽子をかぶりっぱなしだと、 頭皮が蒸れて菌の繁殖につながります。室内に入るたび、こまめに帽子をとりましょう。俗に「帽子をかぶりっぱなしだとハゲる」といわれますが、あながち嘘ではないのです。
帽子以外の対策としては、スプレータイプの日焼け止めが便利です。顔だけでなく髪・頭皮にも使えるものとして「ドクターシーラボUVプロテクトスプレー100」が有名です。もっとも紫外線カット効果が高い分、皮膚への刺激も強い商品です。頭皮のトラブルに悩む方は、低刺激タイプの日焼け止めスプレーを選ぶとよいでしょう。
【薄毛予防】頭皮ダメージから守る毛染め時の注意
毛染めは頭皮に負担大
ヘアカラーやブリーチといった毛染めには、非常に強力な薬剤が使われます。アルカリ性の薬剤で髪のキューティクルをこじ開け、髪のメラニン色素を脱色した後、カラー剤を使って好みの色素を入れていきます。強力な薬剤を使う以上、頭皮にかかる負担も当然大きくなります。「頭皮環境を保ち薄毛を防ぐ」という観点からは、毛染めをしないに越したことはありません。
毛染めによるダメージを防ぐために
もっとも薄毛を防ぐためとはいえ、おしゃれを諦めることに抵抗のある方も多いでしょう。特に若い方にとって、ヘアカラーを諦めることが苦痛に思えることもあるでしょう。そこで、頻度を減らすことを考えてください。髪を染めるのを多くても月に1回に抑えれば、それだけでもダメージを減らせます。
また、美容師さんに頭皮の状態を詳しく伝えることも忘れないでください。薬剤やカラーリング技術を駆使して、頭皮への負担をなるべく少なくする染め方を考えてくれるはずです。カラーリングが鮮やかになるほど、頭皮への負担も大きくなります。美容師さんとしっかり相談して、頭皮にとって最適な染め方を考えることが大切です。
まとめ
それでは最後に、今回ご紹介した内容をまとめます。
・薄毛の原因になる頭皮トラブルは「赤み・臭いをともなうベタつき・痒み」
・頭皮が脂っぽいときは「脂漏性湿疹」に注意
①多少のベタつきは問題ないが、いやな臭いがするなら要注意
②脂っこいものばかり食べないようにしよう
③石鹸シャンプーを使おう
・頭皮が乾燥しているときは「ひこう性湿疹」に注意
①フケが出るからといって洗いすぎないように注意
②アミノ酸シャンプーを使おう
・頭皮を柔らかくするには、全身の血行を良くすること
・頭皮にも日焼け対策が必要
①帽子をかぶろう
②日焼け止めスプレーを使おう
・毛染めは頭皮にダメージを与える
①毛染めの頻度は月1回まで
②美容師さんとしっかり相談しよう
頭皮トラブルが起こる原因は、「頭皮の皮脂の過剰分泌」と「頭皮の乾燥」に分けられます。この視点を持っておくだけでも、対策をとりやすくなると思います。頭皮環境を良好に保つには、適度な皮脂バランスを保つことが大切です。頭皮のみならず全身の健康を維持する意識で、頭皮の健康を守っていきましょう。