抜け毛を予防し、髪を育てる栄養素ビタミンdに注目
私たち人にはビタミンという栄養素が欠かせません。ビタミンには水に溶けやすい性質を持つ水溶性ビタミン、脂に溶けやすい性質を持つ脂溶性ビタミンと大まかに分けて2つあります。このうち、抜け毛を予防し、髪を育てる栄養素と言われているのが、脂溶性であるビタミンdです。ビタミンdにはどんな働きがあるのか、不足するとどうなるのか、効果的な摂り方などについて紹介していきます。
抜け毛を予防するビタミンdの働きとは
ビタミンは食品から摂るものというイメージが強くありませんか?ビタミンdは食品から摂るのは勿論のこと、太陽光を浴びても体内で作り出すことが可能です。ビタミンdの主な働きは次をご覧下さい。
カルシウムの吸収を助ける
筋肉を強くする
カルシウムには骨を丈夫にする働きがあります。骨を丈夫にしたい時はカルシウムだけじゃなく、ビタミンdも一緒に摂ったほうが良いでしょう。
筋肉を強くしたい時に不可欠なのが、タンパク質の合成です。ビタミンdにはタンパク質の合成を助ける働きがあるため、筋肉を強くしたい時にも必要な栄養素となっています。運動している方、鍛えたい方はタンパク質やビタミンdを積極的に摂る他、太陽光も浴びると良いでしょう。
最近では活性型ビタミンD3には、TGF-β2という髪の成長を促す成長因子を増やすという研究結果が出ています。東京大学による毛包再生の研究結果であり信頼性は高いと思われます。
データ参照:『東京大学学位論文データベース 毛包由来細胞移植による毛髪再生』
ビタミンdが不足すると抜け毛が増える?
偏った食生活、太陽光を浴びない日常生活を送り続けると、ビタミンdが不足しかねません。ビタミンdが不足すると、カルシウムも不足するため、骨が弱くなりかねません。高齢の方でカルシウムが不足すると、骨折しやすくなる骨粗しょう症のリスクが高まります。子どもがカルシウム不足に陥ると、骨の成長が悪くなる恐れがあるために注意したいところです。
カルシウムは骨を丈夫にするだけじゃなく、免疫機能を調節する働きも持っています。最近では円形脱毛症とビタミンd不足に密接な関係があることが分かりました。
データ参照:『脱毛症のビタミンD欠乏症』
免疫に異常が発生し、毛根を攻撃してしまうのが円形脱毛症の原因です。マラセチア真菌が原因となる脂漏性皮膚炎による脱毛も、免疫機能に異常が発生すると発症しやすいです。
AGAは免疫異常が原因ではない?
AGA(男性型脱毛症)では男性ホルモンのDHTが原因となっています。免疫機能の異常は特に関係ありませんので、ビタミンdを摂ったからといって直接的な症状の改善は難しいでしょう。
AGAの場合は、バランスの良い食事とともに頭皮環境の改善、育毛剤を使うという対策が一般的です。育毛剤には種類が沢山あります。スカルプDやM-1育毛ミストなどはよく聞かれる育毛剤です。ノコギリヤシ配合の育毛サプリを飲むという対策もAGAには有効です。皮膚科ではプロペシアというAGA治療薬の処方が受けられます。育毛剤や育毛サプリでも抜け毛が治まらない時は、AGA治療薬を処方して貰うと良いでしょう。
抜け毛対策 ビタミンdの効果的な摂り方
太陽光を浴びることで作られるビタミンdは充分な量ではありません。紫外線を浴びすぎると、皮膚に炎症が起きかねないため、食品中心にビタミンdを摂ったほうが現実的で良いでしょう。適当に食品を選ぶのではなく、ビタミンdが多く含まれている食品を選んだほうが効率的です。
次のような食品にはビタミンdが豊富に含まれているため、積極的に摂りましょう。
サケ、マグロ、サバなどの魚類
牛のレバーなどの肉類
シイタケやマイタケなどのキノコ類
その他、チーズや卵黄など
特にサケ、マグロ、サバは効率的にビタミンdを摂れるのが魅力です。青魚好きな方なら、食生活に抵抗なく取り入れられるでしょう。しかし、青魚が嫌いな方は食生活に取り入れるのが難しくなりますので、そういう場合の補助的対策を次よりご紹介します。
青魚は苦手、そんな時は、ビタミンDサプリメントを摂る方法が有効です。マルチビタミンなら、多種類のビタミンを一度に摂れるために便利です。サプリなら食事を作る手間も時間もかからないため、忙しい時でも手軽に摂れるでしょう。
抜け毛対策 ビタミンdの過剰摂取に注意
早く抜け毛を予防したいからといって、ビタミンd過剰摂取は禁物です。 血液に含まれるビタミンdが増えすぎると、吐き気、食欲不振、便秘、体重減少などの症状が出る恐れがあります。
食品のみであれば、過剰摂取になる心配は少ないです。しかし、サプリで補っている場合は、過剰摂取のリスクが高まるでしょう。人によっては腎機能障害といった重大な副作用が出る恐れがあるため、ビタミンdの必要摂取量600IU(成人19歳~70歳)を守る事がポイントです。
データ参照:『統合医療情報発信サイト ビタミンDの必要摂取量は?』
食事、栄養素摂取と抜け毛は関係ない?正解はどれ?
時に、脱毛症と食事は関係がないという書き込みを見る事がありますが、これについてはAGA(男性型脱毛症)は遺伝要素や男性ホルモンの影響を強く受けるので、食事は関係ないという意味であると推測できます。
しかし、摂取した栄養素で人の体は作られています。髪の毛を成長させるには栄養素が必要です。特に髪の毛の主成分となるケラチン(タンパク質)が不足すると、成長が悪くなりかねません。栄養素の不足が続くと抜け毛が増える可能性が高まるでしょう。
栄養素はサプリメントで摂る方法があるものの、あくまでも補助といった役割です。サプリメントだけで必要な栄養素を摂ろうとしても難しいため、日頃からの食事が大切となります。偏った食生活を続けている方は、抜け毛を予防するためにも、食事の見直しを行ったほうが良いでしょう。
納豆巻きが抜け毛予防に良いの?
納豆巻きが抜け毛予防に良いと聞いたことはありませんか?イソフラボンが豊富に含まれているのが、納豆の原料となる大豆です。イソフラボンには髪の毛を育てる作用があるため、ある程度の育毛が期待できます。さらに大豆はタンパク質の宝庫となっているため、推奨される理想的な食べ物と言えます。納豆好きな方は毎日1本召し上がると良いでしょう。
ミネラルは抜け毛予防に良いの?
ビタミンとともに摂りたいのが、ミネラル(カルシウムや亜鉛)です。カルシウムや亜鉛が多く含まれる食品は次をご覧下さい。
ミネラル名 | 食品 |
カルシウム | 牛乳やヨーグルトなどの乳製品/豆腐や納豆などの大豆製品/小魚類/ヒジキや海苔などの海藻類 |
亜鉛 | 牡蠣や毛ガニなどの魚介類/豚レバーやヒレ牛肉などの肉類/卵やタラコなどの卵類 |
亜鉛には細胞の増殖をサポートする働きがあります。ただし、 過剰摂取による副作用の心配がありますので成人40mgの上限摂取量は守って下さい。日常の一般的な食生活では過剰摂取になる事はほぼないのですが、 亜鉛のサプリメントを使っている場合は注意が必要です。
データ参照:『統合医療情報発信サイト 亜鉛が害を及ぼす可能性はないのですか?』
また、 カルシウムの過剰摂取は亜鉛の吸収が悪くなるため、成人(19歳~50歳)2,500mgの摂取量を守りましょう。
データ参照:『統合医療情報発信サイト カルシウムが害を及ぼす可能性はないのですか?』
ビタミン剤処方で抜け毛が治まらない時は?
脂漏性皮膚炎を治すため、皮膚科に来院するとよく処方されているのがビタミン剤です。ビタミン剤では、皮脂の分泌量を抑える効果が期待できます。しかし、ビタミン剤を飲んでも抜け毛が治まらない場合、本当に効いているのか不安になりませんか?脂漏性皮膚炎の場合、ビタミン剤の他にもいくつかの治療法がありますのでご紹介しておきます。
皮膚科に質問してみたところ、脂漏性皮膚炎には次のような治療法があるとのことです。
ステロイド外用薬(炎症を抑える効果)
抗真菌薬(マラセチア真菌を抑える効果)
抗ヒスタミン薬(かゆみを抑える効果)
その他にも重要なのが、患部を清潔にする生活習慣とのことです。患部が不潔のままだと、脂漏性皮膚炎の原因となるマラセチア真菌が増えかねません。刺激の少ないシャンプーなどで、頭皮を清潔に保ちましょう。
まとめ
ここまでビタミンdについて紹介してきました。主なポイントだけまとめると次のようになります。
ビタミンdにはカルシウムの吸収を助ける働き、筋肉を強くする働きがある
円形脱毛症とビタミンd不足には関係性がある
脂漏性皮膚炎による脱毛もビタミンd不足に注意
ビタミンdは特にサケ、マグロ、サバに豊富に含まれる
ビタミンDサプリで補う方法もある
納豆巻きを毎日1本召し上がると、育毛が期待できる
カルシウムや亜鉛が豊富に含まれる食品も積極的に摂ろう
ただし、過剰摂取には注意することが必要です。過剰摂取により、何らかの異常が出た時にはすぐに医師に相談しましょう。頭皮トラブルは命に別状があるわけではないし軽く扱われがちですが、本人にとっては不快度も高く、人目も気になるので深刻な悩みである事が多いです。今回は皮膚科でも処方されるビタミン、中でもビタミンdに注目して髪への影響をまとめてみました。薄毛、抜け毛対策に参考にしていただければと思います。