抜け毛を防止するにはベタベタ脂性タイプも朝シャンを止めるべき?
頭皮がベタベタしていると、人目も気になり、自分も不快感が強いですよね。「夜にいくらシャンプーをしても、朝起きるとまた髪がベタベタしてぺしゃんこになる」という悩みをお持ちの方も少なくないはずです。だからといって朝シャンまですると、髪のためにはかえって逆効果になってしまいます。そこで今回は、抜け毛と朝シャンの関係について詳しく見ていきましょう。
朝シャンすると抜け毛が増えるって本当?
朝シャンは脂漏性皮膚炎に逆効果
脂性の人にとって、頭皮がベタベタするのは悩みの種です。髪がぺしゃんこになって不快なのはもちろんですが、「脂漏性皮膚炎」という症状を引き起こすこともあります。というのも、頭皮の皮脂が過剰に分泌されると、マラセチア(頭皮の常在菌の一種)が異常に繁殖する原因となります。そして異常繁殖したマラセチアが頭皮に炎症を起こし、フケ・かゆみ・湿疹に悩まされるようになるのです。
だからといって、頭皮の皮脂を洗い流そうとして何度もシャンプーをすると、むしろ症状が悪化してしまいます。なぜなら、頭皮の皮脂に含まれるビタミンEには、菌の増殖を抑制する働きがあるからです。何度もシャンプーをして皮脂を落としすぎると、逆にマラセチアの繁殖を助ける結果になってしまうのです。
したがって、頭皮がベタベタしているからといって、朝シャンをするのは頭皮環境にとって逆効果です。頭皮の皮脂バランスが崩れることで、かえって常在菌が繁殖しやすい環境になってしまいます。菌の繁殖によって頭皮が炎症を起こすと、頭皮や髪に栄養が行き渡りにくくなります。その結果、抜け毛が増えやすい頭皮環境になってしまうのです。
石鹸シャンプーを使おう
もしシャンプーをしても頭皮のベタベタが解消されないのなら、シャンプーの回数を増やすよりも、シャンプー選びを見直したほうがよいでしょう。洗浄力の強い石鹸シャンプーを使ってください。お店で石鹸シャンプーを見つけるには、成分表に次の記載があるかどうかで判断しましょう。
・脂肪酸ナトリウム
・脂肪酸カリウム
異常な抜け毛本数とは?朝シャンを止めれば元の髪に戻る?
洗髪時の抜け毛が増えたら要注意
健康な人の抜け毛本数は日によって、また人によって差がありますが、1週間の抜け毛本数を日割り計算すると約65本だといわれています。男性型脱毛症に対する育毛剤の効果を調べるために行われた実験の中では、正常な人は1日当たり60~80本の抜け毛が、男性型脱毛症の患者はその2倍ほどの抜け毛が確認されたということです。また、正常な人も男性型脱毛症の患者も、抜け毛の数は洗髪時がもっとも多かったとのことです。
参照:「抜け毛の動態を指標とした育毛剤の評価法」(「皮膚」1989 年 31 巻 4 号 p. 548-562)
したがって、シャンプーをしたときの抜け毛が増えてきたと感じたら、脱毛症の発症が疑われます。特に脂性の人の場合は、脂漏性皮膚炎に伴って「脂漏性脱毛症」を発症している可能性があります。先ほど説明したように、頭皮の炎症によって髪が栄養不足に陥り、抜け毛が増えてしまうのです。
シャンプーは朝ではなく夜にしよう
脂漏性脱毛症を改善するには、頭皮環境の改善を考える必要があります。そのためには、頭皮の皮脂バランスを適切な状態に保つことを心がけましょう。具体的には、シャンプーの回数を1日1回にとどめてください。またシャンプーをする時間帯は、朝ではなく夜にしましょう。「髪は睡眠中に成長する」ということを考えると、就寝前に頭皮の余分な皮脂を落としておく必要があるからです。
朝シャンを止めれば元の髪に戻るかどうかについては、抜け毛の原因がシャンプーのし過ぎであれば、十分元に戻る可能性はあります。シャンプーを一日1回にとどめ、就寝前の夜に頭皮の余分な汚れを落として、朝シャンはしないという洗髪方法を続ける事で頭皮環境が改善されていく可能性大です。
ただし、抜け毛の原因が男性型脱毛症である場合、 頭皮環境の改善は行え、現状維持できたとしても、元の髪に戻るかどうかと言えば難しいと言わざるを得ません。なぜなら、男性型脱毛症は進行性の脱毛症だからです。
朝シャン止めて抜け毛対策(理想的なシャンプー方法)
正しいシャンプーの方法
朝シャンを止めて、1日1回のシャンプーで頭皮の皮脂を効果的に落とすには、どのようなシャンプー方法がよいのでしょうか。日本毛髪協会の電話相談で聞いてみたところ、次のようなやり方を教えてもらうことができました。
①シャンプー前にお湯でしっかりすすぐ(ほこりや汚れ、整髪料等を落とします)
②シャンプー剤使用で頭皮をマッサージするように洗う(お湯だけでは落とせない皮脂や角質を落とします)
③シャンプーをしっかり洗い流す(シャンプーのすすぎ残しは皮膚トラブルの原因になります)
乾かし方にも注意しよう
また、シャンプーをした後の乾かし方についても教えてもらいました。
・生乾きのまま自然乾燥させると、 頭皮の常在菌が繁殖する原因になる
・タオルドライだけでなく、ドライヤー乾燥もしっかり行う
・逆にドライヤー乾燥だけだと、 熱風による頭皮へのダメージが心配
・タオルドライでおおまかに水分を取った後、やさしくドライヤー乾燥をするのが理想的
「せっかく正しい方法でシャンプーをしても、乾かし方が誤っていると意味がありません」とのことです。シャンプー選びや洗い方だけでなく、髪の乾かし方にもしっかり注意して、頭皮環境を健康に保っていきましょう。
朝シャン止めて抜け毛対策(髪をサラサラキープするには)
朝の「湯シャン」でベタベタを乗り切ろう
正しい髪の洗い方・乾かし方を取り入れたからといって、すぐに頭皮環境が改善するとは限りません。夜にシャンプーをした直後は髪がサラサラになっても、朝起きると頭皮が少しベタベタしていることがあります。頭皮環境がしっかりと改善するまでは、朝の頭皮がベタベタするのを我慢しなければなりません。そこで効果的なのが、シャンプーを使わずにお湯だけで髪を洗う「湯シャン」です。
夜の洗髪を「湯シャン」だけで済ませるのは、脂性の人にとっては現実的ではありません。頑固な皮脂を落としきれず、皮脂の過剰分泌を抑えきれないからです。しかし、夜の入浴時に洗浄力の強い石鹸シャンプーを使っておけば、朝の頭皮のベタベタはそこまでひどくなりません。「湯シャン」で十分に落とせる程度の皮脂量になります。そこで朝の「湯シャン」が効果を発揮します。
シャンプーを使った朝シャンとは違って、「湯シャン」はお湯だけしか使いません。そのため、必要以上に皮脂を洗い流すことがありません。皮脂バランスを崩さずに、寝ている間に分泌された余計な皮脂だけを落とすことができるのです。
朝こそしっかり乾かそう
ただ、「湯シャン」のあとに髪をしっかり乾燥させるのを忘れないようにしましょう。朝はどうしても慌ただしくなるので、髪を乾かすのがいい加減になってしまうことがあります。しかし、それでは頭皮に菌を繁殖させることになるため、頭皮環境は逆に悪化してしまいます。朝の「湯シャン」をする場合は、髪を完全に乾かす時間を確保しておくようにしましょう。
朝シャン止めて抜け毛対策(髪のベタつきを抑える食生活)
食生活のバランスが大事
頭皮の皮脂が過剰分泌されないようにするには、食生活にも気を付ける必要があります。5大栄養素(たんぱく質・炭水化物・脂質・ビタミン・ミネラル)をバランスよく摂取しなければなりません。髪のベタベタに悩んでいるからといって、「脂質を一切摂取しない」というような偏った食事の摂り方は逆効果です。
和食中心の食事を意識しよう
とはいえ、バランスの取れた食生活を実践するのは、決して簡単なことではありません。実家で親に食事を作ってもらっているならともかく、一人暮らしの若い男性が毎日の食事に気をつかうのは大変なことです。そこで、何か一つシンプルなルールを決めておくと効果的です。たとえば「和食中心の食生活を心がける」というルールを決めておくのです。
和食は、食材も調理法も油が控えめで済みます。そのため、外食をするにしても和食のメニューを選ぶように決めておけば、油の取りすぎを避けることができます。コンビニ弁当を買うときも、できるだけ和食のおかずが入っているものを選びましょう。もちろん自炊をするのが理想的ですが、外食やコンビニ弁当も和食を中心にすれば栄養バランスに気をつけることができるのです。
食生活の改善は1回すれば効果が出る様なものではなく長く続けていくものです。揚げ物や肉料理が続いているから控えようと意識するだけでも違います。自分の出来る工夫をして無理なく続けていける事が何よりも大切です。
まとめ
それでは最後に、今回ご紹介した内容を簡単にまとめます。
・髪のベタつきに悩む人は、シャンプーの回数を増やすより洗い方やシャンプー選びを見直そう
・シャンプーをするのは夜だけにしよう
・シャンプーをした後は、髪を完全に乾かそう
・あまりに髪のベタつきがひどいときは、朝の「湯シャン」で乗り切ろう
・和食中心の食生活を心がけよう
「正しいやり方で髪を洗っても、きちんと乾かさなければ逆効果になってしまう」というのは、意外と見落としがちな点だと思います。朝シャンが髪に悪い原因は、必要な皮脂まで落としてしまうことはもちろんですが、髪を乾かすのをおろそかにしてしまうことにもあるのではないでしょうか。あなたも是非、毎日の洗髪のやり方を少しだけ見直してみてください。