抜け毛の2大原因、髪の洗い方とシャンプー剤について
抜け毛の症状は、原因がわかりづらいところに特徴があります。特に女性の場合は、様々な体調の変化が抜け毛の原因とならないか、不安に思うことが多いでしょう。あまり不安にかられていると、ストレスから体調不良になってしまうおそれがあります。そこでまずは、髪の洗い方やシャンプーの選び方といった、自分でもできる抜け毛対策を知ることで、抜け毛への不安を和らげましょう。
髪の毛の洗い方に抜け毛の原因がある
抜け毛の原因の3パターン
髪の毛を正しく洗えていないと、抜け毛の原因となってしまう場合があります。抜け毛の原因となる洗い方には、次の3パターンがあります。
・皮脂の洗いすぎ(頭皮の皮脂を洗い落としすぎて、頭皮の常在菌のバランスが崩れてしまう)
・シャンプーのすすぎ残し(頭皮に残ったシャンプーの成分が、皮膚トラブルを起こしてしまう)
・生乾き(乾燥が不十分で水分が頭皮に残り、雑菌が繁殖してしまう)
皮脂の洗いすぎ
まず「皮脂の洗いすぎ」から見ていきましょう。頭皮から分泌される皮脂には、殺菌作用があります。適度な量の皮脂は、頭皮の悪玉菌を殺菌する役割を果たすのです。そのため、過剰なシャンプーによって頭皮の皮脂を洗いすぎると、頭皮の常在菌のバランスが崩れて頭皮環境が悪化 してしまいます。
また頭皮にとって、適度な量の皮脂は必要不可欠なものです。そのため皮脂を洗いすぎると、頭皮は不足した皮脂を分泌しようとします。頭皮に運ばれた栄養の大部分が皮脂の分泌に回され、髪に栄養が行き渡らなくなってしまいます。このことも抜け毛の原因となります。
シャンプーのすすぎ残し
「シャンプーのすすぎ残し」も抜け毛の原因となります。どんなに低刺激のシャンプーであっても、シャンプーの洗浄成分は頭皮にとって異物です。すすぎ残して 頭皮に残ったシャンプーの成分が、頭皮の新陳代謝を阻害して頭皮トラブルを引き起こしてしまう のです。
生乾き
髪を洗った後の「生乾き」が抜け毛の原因になることは、意外な盲点です。どんなに正しいやり方で髪を洗ったとしても、洗髪後の乾かし方が中途半端だと意味がありません。頭皮に残った水分がカビや雑菌の繁殖につながり、頭皮トラブルを引き起こしてしまう からです。
正しい洗い方で抜け毛対策にチャレンジ
正しい髪の洗い方の手順
正しい髪の洗い方について、詳しく見ていきましょう。大まかな手順は次の通りです。
①シャンプーの前にしっかり湯洗いをする
②シャンプーを手に取り泡立てる
③頭皮をマッサージするようにシャンプーする
④シャンプーをしっかり洗い流す
⑤まずタオルドライをしてから、残った水分をドライヤーで乾かす
力を入れて洗う必要はない
この手順のうち、もっとも誤解が多いのが「③頭皮をマッサージするようにシャンプーする」という点です。特に頭皮の皮脂が気になっている人は、汚れがしっかり落ちるように力を入れて洗いがちです。しかし力を入れてシャンプーをすると、知らず知らず頭皮を傷つけてしまいます。 頭皮が傷つくと、角質が剥がれ落ちてフケになったり、炎症が起きる原因となります。
頭皮に爪を立てるのが良くないのはもちろんのこと、指の腹で強く押しながら洗っても頭皮が傷つきます。また、力を入れながら洗っていると、全体を均等に洗いにくくなるというデメリットもあります。さほど力を入れなくても、シャンプーの泡は毛穴に浸透していきます。髪を洗う際に、頭皮を強く押す必要はないのです。
頭皮を押すことよりも、頭皮の毛穴を開くことを意識しましょう。そのためには、頭皮ではなく耳の上あたりを押し上げるマッサージが効果的です。両掌のふくらみを耳の上あたりに押し当て、そのまま両手を押し上げます。すると頭皮全体が持ち上がり、毛穴が開きます。これを繰り返すことで、毛穴を開きながら洗髪できます。頭皮自体は、顔を洗うくらいの力で洗えば十分です。
正しい髪の乾かし方
髪の乾かし方にも注意が必要です。というのも、ドライヤーの熱風は頭皮にダメージを与える原因となるからです。お風呂から上がってすぐにドライヤー乾燥をすると、頭皮へのダメージが増えてしまいます。まずはタオルドライをしましょう。タオルで髪や頭皮をポンポンと叩きながら、やさしく水分を吸い取ります。その後、頭皮から十分距離をおいてドライヤー乾燥をしましょう。
抜け毛を予防する洗い方(シャンプー剤の選び方)
シャンプーの分類
抜け毛を予防するには、正しいシャンプー選びも大切です。頭皮の状態にあったシャンプーを選ぶようにしましょう。シャンプーの種類は大きく分けて、次の3つに分類することができます。
・石鹸シャンプー
・高級アルコール系シャンプー
・アミノ酸系シャンプー
高級アルコール系シャンプー
このうち高級アルコール系シャンプーは、多くが植物由来の合成界面活性剤を使っています。かつては石油系合成界面活性剤のシャンプーが主流でしたが、現在はその多くが植物由来のものに切り替わりました。もっとも植物由来の合成界面活性剤も、その成分は石油由来のものと変わりません。「ラウリル硫酸アンモニウム」「ラウレス硫酸アンモニウム」といった成分 が使われています。
合成界面活性剤は、頭皮への刺激が強い薬剤です。したがって、高級アルコール系シャンプーは、頭皮トラブルに悩む人に向きません。そこで、高級アルコール系シャンプーの簡単な見分け方をお教えします。それはシャンプーの色です。合成界面活性剤を使ったシャンプーは透き通っていません。透き通っておらず着色されたシャンプーは、高級アルコール系シャンプーと考えて差し支えありません。
石鹸シャンプーとアミノ酸系シャンプー
石鹸シャンプーとアミノ酸系シャンプーには、合成界面活性剤が使われていません。特にアミノ酸系シャンプーは低刺激で、炎症やかゆみといったトラブルを抱えた頭皮もやさしく洗えます。その代わり、洗浄力は低めです。皮脂の過剰な分泌に悩む人には、洗浄力の高い石鹸シャンプーが向いています。
抜け毛を予防する洗い方(シャンプーを使わない湯シャンを検証)
湯シャンは頭皮を休ませるためのもの
抜け毛を予防する髪の洗い方として、シャンプーを使わず湯洗いのみで済ませる「湯シャン」という方法が推奨されることがあります。果たしてこの方法は、抜け毛対策として有効なのでしょうか。この点について、日本毛髪科学協会の電話相談で聞いてみました。
返ってきた回答は以下の通りです。
・湯シャンでも時間をかけて洗えば、ある程度皮脂を落とすことができる
・少し荒れた頭皮を休ませる目的なら、有効な方法だといえる
・もっとも、シャンプーを使うよりも皮脂の蓄積が進みやすい
・したがって、湯シャンのみで髪を洗い続けると、逆に抜け毛の原因となる
結論としては「普段はシャンプーを使い、頭皮が荒れてきたと感じたら湯シャンで頭皮を休ませる」というやり方が適切だとのことでした。
湯シャンを検証
そこで、私自身も湯シャンを試してみました。シャワーでお湯を頭皮に流しながら、頭皮マッサージをしてみました。シャンプーを使わないので汚れがすぐに落ちる感覚はありませんでしたが、数分ほど続けると汚れが落ち始める感覚を得られました。
意外だったのは、シャンプーを使うよりも「頭皮が突っ張る感じ」がしたという点です。私が普段使っているのはアミノ酸系シャンプーです。アミノ酸系シャンプーは保湿力が高く洗髪後にパサつきにくいという特徴があるのですが、顕著に表れた結果ではないかと思います。
湯洗いのみで皮脂の洗い落としが不十分である事と、シャンプー剤の洗い残しがある事では、シャンプー剤の洗い残しがある事の方が頭皮トラブルの元になりますので、頭皮を休める為に湯洗いを取り入れ、シャンプー時はしっかりと洗い流す事を意識しましょう。
頭皮トラブルがある抜け毛の場合、どんな洗い方がベスト?
オイルパック
頭皮トラブルが起きている場合は、 酸化した皮脂が頭皮にこびりついていると考えられます。そのため、酸化した皮脂をきれいに落とす必要があります。しかし、酸化した皮脂はシャンプーだけではなかなか落ちません。そこで効果的なのが、オイルパックです。植物性のオイルを頭皮に塗布することで、酸化した皮脂をオイルで溶かします。そのうえで、オイルごとシャンプーで洗い流すのです。
私自身、ホホバオイルを使ってオイルパックをすることがあります。頭皮にホホバオイルを塗布して、お風呂にゆっくり浸かります。体が温まるにしたがって、毛穴も開いてオイルが浸透していきます。同時に頭皮マッサージも行います。しばらくしたら、シャンプーでオイルごと洗い流します。頭が軽くなったと思うほどの気持ちよさが得られます。
正しい洗い方をすればどの位で抜け毛は改善する?
頭皮環境については様子を見るのは1ヶ月まで
正しい髪の洗い方によって抜け毛が改善するには、どれくらいの期間がかかると考えればよいのでしょうか。この点については個人差があるので、はっきりした答えを出すのは難しいです。もっとも、たとえば薬用シャンプーのメーカーが、効果が出るまでどれくらいの期間がかかると考えているか分かれば、それを参考にすることができます。
そこで、頭皮のフケ・かゆみの原因であるカビ菌に作用する「コラージュフルフルシャンプー」のメーカーに聞いてみました。すると、次のような回答が得られました。
「早い人はサンプル品だけで効果が出ますが、遅い人は1ヶ月ほどかかります。そのため、当社では効果が出るまで1ヶ月程度様子を見ていただきたいと考えています。逆に1ヶ月使用を続けても改善が見られない場合は、皮膚科を受診するようにしてください」
この回答から考えて、正しい髪の洗い方が症状を改善する期間の目安は、1ヶ月程度だとみてよいでしょう。正しい髪の洗い方やシャンプー選びをしても1ヶ月以上改善が見られないという場合は、ストレスあるいは何らかの疾患が背後に隠れている可能性があります。安易な自己判断は避けて、専門医を受診するようにしてください。
上記の回答はカビ菌に作用するという特殊な条件での効果です。脂漏性皮膚炎などの様にカビ菌が原因で頭皮トラブル、それによる抜け毛の場合ですので、その改善というのは抜け毛の改善期間ではなく、頭皮環境の改善期間についての回答です。
抜け毛の改善期間については、頭皮環境が改善し、ヘアサイクルが正常化してからになりますので、個人差はありますが目安として3ヶ月位はかかると思っておいた方がいいでしょう。
まとめ
それでは最後に、今回ご紹介した内容をまとめます。
・洗髪が抜け毛の原因となるのは「皮脂の洗いすぎ」「シャンプーのすすぎ残し」「生乾き」
・洗髪時には頭皮を強く押すのではなく、耳から持ち上げるようにマッサージしよう
・頭皮への刺激が強い高級アルコール系シャンプーは、色が透き通っていないのが特徴
・湯シャンはあくまでも頭皮を休ませるためのもの
・頭皮トラブルがある場合は、オイルパックを併用して髪を洗おう
・1ヶ月経っても頭皮環境の改善が見られなければ専門医を受診しよう
体調不良やストレス、いろんなものを抱えながら生活していると、抜け毛の原因が何なのか分からなくなり、どうしていいのか途方にくれますよね。今回は髪の洗い方とシャンプー剤に注目してみましたが、参考になったでしょうか?日々の生活の中で当たり前にしている洗髪は軽視されがちですが、シャンプー剤を変え、正しい洗髪方法を行っただけで抜け毛が治まる事もあります。抜け毛の悩みから解放される為にも、自分の出来る事から試してみてはいかがでしょうか。