40代サラリーマンの髪が抜ける原因(ストレス編)
抜け毛には様々な原因がありますが、その一つとしてストレスが挙げられます。毎日ストレスにさらされている働き盛りのサラリーマンにとって、大きな悩みの種です。ストレスのせいで抜け毛が起きていないか悩んでいると、そのこと自体がストレスになってしまいます。そこで今回は、ストレスによる抜け毛について詳しく見ていきましょう。
40代サラリーマンの特徴と抜け毛が増える原因
ストレスは抜け毛の原因になる
サラリーマンは40代になると、大きな責任を持つ役職に就くようになります。そのため、職場でのストレスは非常に強いものとなります。その一方で家庭の中でも、成長した子供の進学といった問題に悩むことも多くなります。こうした様々なストレスは、抜け毛が増えてしまう原因となります。
ストレスが原因の抜け毛というと、「円形脱毛症」のイメージが強いと思います。しかし、円形脱毛症の原因はストレスに限りません。ストレス以外にもウイルス感染や外傷など、様々な原因で発症するのが円形脱毛症です。その一方で円形脱毛症以外の抜け毛も、ストレスが原因となる場合があります。
ストレスによって抜け毛が起こる理由
ストレスが抜け毛を引き起こすメカニズムには、免疫力が関係しています。というのも、強いストレスにさらされた場合には、身体の中の免疫力が低下してしまいます。すると、ウイルスや病原菌から身体全体を守るには、免疫力が不足してしまうことになります。十分でない免疫力で身体を守るためには、内臓など生命維持に欠かせない器官を優先しなければならなくなるのです。
その一方で、髪の毛は生命維持に不可欠ではありません。そのため、ストレスによって免疫力が低下した状態では、髪の毛の保護が後回しにされてしまいます。つまり強いストレスにさらされると、髪の毛がウイルスや病原菌の攻撃をもろに受けるようになるため、抜け毛が起きやすくなってしまうのです。
抜け毛が増える原因(40代が抱えるストレス)
職場に潜む様々なストレス要因
40代サラリーマンは、職場で様々なストレスにさらされます。そこで、職場で受けるストレスの要因(ストレッサー)として代表的なものを挙げていきます。ストレスにうまく対処するには、どんなストレッサーがあるのか知ることが大切です。ご自身の生活の中で思い当たるところがないか、チェックしてみてください。
①役割ストレス
⇒仕事上の役割から受けるストレスです。中間管理職が上司と部下の板挟みになるような場合です。
②職場の人間関係
⇒上司や同僚からの支援が得られない場合に、強いストレスが生じます。
③技術の活用の欠如
⇒これまで習得した技術を仕事に生かせない場合に生じるストレスです。
④量的・質的な作業負担
⇒作業の量が多すぎる場合、および作業の内容が複雑すぎる場合に受けるストレスです。なお「男性の場合は、仕事の量よりも質からストレスを受けやすい」という調査結果があります。
参照:「心療内科から見た職場ストレス」
参照:「職場ストレスの健康管理:総説」
こうしたストレッサーの影響で強いストレスがかかると、体内の免疫力が低下します。また、アルコール依存や不眠症といった健康被害が出る場合もあります。ストレスによって身体に悪影響が及ぶと、髪の毛への栄養供給も滞って抜け毛の原因となります。
抜け毛が増える原因(眠れないというストレス)
睡眠不足によって抜け毛が増える理由
ストレスの影響で睡眠不足になると、抜け毛の原因となることがあります。睡眠不足が髪の毛にもたらす悪影響としてもっとも大きいのは、成長ホルモンの分泌が低下してしまうことです。というのも、髪の毛の成長を促す成長ホルモンは、主に睡眠中に分泌されます。そのため、 睡眠時間が減ると成長ホルモンの分泌が低下し、髪の毛の成長も阻害されてしまうのです。
睡眠不足の自覚がない場合、 身体は元気であっても脳では睡眠不足を感じストレスを受けます。また、 眠れないと思う事自体がストレスとなり、悪循環をもたらす事になります。
そして、睡眠不足は生活習慣病にもつながります。生活習慣病になると、肥満や高血圧によって全身の血行が悪くなってしまいます。全身の血行が悪くなると、当然のことながら頭皮の血行も悪くなります。頭皮の血行は、髪の毛への栄養供給も担っています。そのため頭皮の血行が悪くなると、髪の毛がやせ細って抜け毛が増える恐れがあるのです。
参照:「健康づくりのための睡眠指針2014」
抜け毛の原因を解消するストレスコントロール
ストレッサーから受ける影響の違い
サラリーマンが職場で受けるストレスからは、抜け毛の原因となるような悪影響が生じます。ただ、同じストレッサーにさらされながらも、悪影響が生じる人と生じない人がいます。その要因のひとつとして、性格の違いが挙げられます。たとえば攻撃性や競争心が強い性格の人(「タイプA性格者」と呼ばれます)は、同じストレッサーにさらされても身体的影響が出にくいということが報告されています。
参照:「職場ストレスの健康管理:総説」
タイプAとは逆に内向的で気の弱い性格の人は、同じストレッサーでも他人より大きな影響を受ける 恐れがあると言えます。とはいえ会社で働く以上は、ある程度のストレッサーは避けられません。そこで、ストレッサーとうまく付き合う方法が必要です。そのために効果的なのが、「 マインドフルネス」という考え方です。
マインドフルネスの思考法
マインドフルネスとは、不快な出来事からネガティブな感情が生じた場合に、無理にストレス発散しようとするのではなく「感情を観察する」という思考法です。ネガティブな感情を観察することで、そこから距離を置くことができます。すると精神が安定し、ストレスによる悪影響を回避できます。マインドフルネスの思考法を取り入れることで、ストレッサーに対する言語的な攻撃反応が減少するとの報告もあります。
参照:「攻撃行動と対人ストレッサーの関連におけるマインドフルネスの調整効果の検討」
職場で不快な出来事があった場合は、その出来事によって生じた感情を「ただ観察」してみましょう。「自分は今、〇〇部長の行動を理不尽に感じている」「自分は今、部下に対して怒りを感じている」というように、自分が感じたことを言語化するのです。言語化することで、自分の感情を観察することができます。
自分の感情を観察できるとそこから距離を置けるので、ネガティブな感情に飲み込まれないで済みます。たったこれだけのことでも、ストレスの悪影響を小さくすることができるのです。その結果、ストレスが原因となって起こる抜け毛を減らすことが可能になります。
抜け毛が増える原因(AGAの可能性)
男性型脱毛症(AGA)とは?
40代のサラリーマンにとって、抜け毛の原因として無視できないのが「 男性型脱毛症(AGA)」です。AGAは男性ホルモンの作用が原因で起こる脱毛症で、その発症には遺伝的要素が大きくかかわっていると考えられています。AGAの治療には、 ミノキシジルという薬剤が使われます。ミノキシジルは、医薬品の育毛剤にも含まれています。
AGAとストレス
AGAの発症には、ストレスは直接関係しません。AGAにとって、ストレスはあくまでも副次的な要因です。順序としては、まず男性ホルモンの作用でAGAが発症し、その症状がストレスによって悪化する恐れがあるということになります。
なおAGAが発症する部位は、頭頂部・前頭部に集中します。したがって、髪の毛が全体的に抜けてしまうような場合は、AGAだけが原因ではないということになります。少なくとも頭頂部・前頭部以外の抜け毛については、AGAではありません。もちろん、ストレスによる抜け毛の可能性が出てきます。
ストレスによる抜け毛と育毛剤
仮にストレスが直接の原因で起こった抜け毛だとすると、育毛剤に配合されたミノキシジルは効果を発揮しません。もっとも育毛剤の効果には、頭皮の保湿や血行改善という面もあります。したがって、ストレスが原因の抜け毛に対しても、頭皮の保湿や血行改善のために育毛剤を使用することは有効だと言えます。
まとめ
それでは最後に、今回ご紹介した内容をまとめます。
・ストレスによって免疫力が低下し、髪の毛が抜けやすくなる
・職場には様々なストレッサー(ストレスの要因)が存在する
・睡眠不足は髪の毛への栄養供給を阻害し、抜け毛の原因となる
・同じストレッサーでも、そこから受ける影響は性格などによって異なってくる
・ストレッサーからの影響を小さくするには、マインドフルネスの考え方が効果的
・AGAが発症する引き金はストレスではないが、ストレスがAGAの症状を悪化させることがある
・育毛剤を使って頭皮の保湿・血行改善を図るのは、ストレスが原因の抜け毛にも有効
ストレスは抜け毛のみならず、深刻な心身の病につながりかねないものなので、慎重に対処することが必要です。その方法のひとつとして、マインドフルネスの思考法はとても有効だと思います。実践法について書かれた書籍もあるので、ぜひ参考にしてみてください。